あの日以来、何となく遼と話すタイミングがなくて遼と話をしていなかった。 教室では話せないし、二人で話すこともなかったから……。 まぁ、さつきのことは、お兄ちゃんから聞いていたんだけどね。 こうやって直接遼のうれしそうな顔を見るのは正直、複雑。 「そっか、よかった……」 「ああ、美紅のおかげだよ。ありがとう」 わたしは何も……そう言おうとして口を噤む。 別にわたしが何をしたってわけでもない。 でも、遼が喜んでくれてるんだから、わざわざ水を差すようなことをする必要もない。