「あ、美紅! 原田先生のとこ?」
「え? あーまぁ……」
職員室の前まで来ると、騒がしい声が廊下に響く。
持っていた紙袋を後ろに隠す。
「もうすぐ会議らしいから早く行ってきた方がいいよ!」
そう、真由に押されて職員室に入ると、遼と目が合った。
遼を訪ねる生徒がわたし最後だったのか、遼の周りには生徒はいなかった。
その代わりに花束やプレゼントが山のように置かれている。
人気あったもんなぁ……。
うちのクラスだけじゃなく、他のクラスからも遼に話しかけに来る生徒はいた。
今となっては分かるけど……やっぱりイケメンだからかなぁ。
そう思うとまた一つため息が漏れた。
わたしは小さく手招きをすると、遼が不思議そうな顔でこっちにやってきた。

