「お前はどいてろ! オレはこいつに話があるんだ!」
掴んだ手を掴まれて振りほどかれる。
「さつきのこと、どう思ってんの?」
「はぁ?」
わたしの疑問がそのまま遼の声になった。
遼を睨んでいたお兄ちゃんが気の抜けた遼の声で顔をしかめる。
わたしのことで、怒ってたんじゃない……の?
「それはさ、どういう意味で?」
「どういうって、好きか嫌いかって聞いてんだよ!」
「……好きだけど?」
好き……。
妹に対しての好きなんて言葉だってことは理解してるつもり。
でも……こうやって遼の口からその言葉を聞くと、何だか胸が痛む。

