「ううん。お疲れ様……です」


「もーあのレポートの数、何? 狭山先生って鬼だよな……」



ポロリと遼の口からグチが零れてうれしくなる。



「狭山に捕まったの? あの先生、レポート王だから気をつけなきゃ」



国語教師で生活指導。


活字を見るのが趣味らしく、何かと理由をつけて、作文だのレポートだの書かせる天才。


狭山にだけは捕まりたくない。



「マジで? 樋口も松山も泣いてたよ」


「お疲れー」



なんて笑っていられるのが幸せ。


こんな遼を見られるのはきっとわたしだけだよね?


そう思うとうれしくなる。