「うちね、両親が離婚するんだ……」



長い沈黙の後、さつきが静かに口を開いた。



「え?」


「昨日、正式に決まったの。それで、わたしとお姉ちゃんはお父さんに引き取られて、お兄ちゃんはお母さんに引き取られることに決まったの」



淡々と話すさつきから目が放せなかった。


きっと、淋しいはずなのに……辛いはずなのに……。



「両親が離婚しても兄妹はみんな一緒だと思ってた……大好きなお兄ちゃんと離れちゃうなんて……」


大好きなお兄ちゃん……そっか、さつきだってお兄ちゃんが好きだったんだ……。



「でも、だったら何で一緒にいてあげないの? 遼だって一緒にいたいはず……」


「それはないよ!」


「何で?」


「本当は、兄妹みんな、お父さんについていくはずだった。でも、お兄ちゃんは自分だけお母さんのとこにいるって言ったの」



それがどんな意味を成してるのか……それはきっと遼にしか分からない。