しばらく沈黙が流れて、さつきがわたしの手を離した。 「……一番近くにいるから……だから分かるんだよね……」 静かに放たれた細い声。 わたしはさつきの言ってる意味が分からなくてさつきを見る。 「お兄ちゃんが誰を見てるかなんて分かっちゃうんだよね……何か、淋しいよね……」 「ちょ……どうしちゃったの……?」 明らかにさつきの様子がおかしいのは分かる。 おかしいんだけど、その意図は分からない。 さつきが何を考えてるのか……わたしには全く分からない……。