「そういえば……家には連絡してあるんですか?」 わたしの言葉にさつきが顔をしかめる。 「……ううん」 「え? じゃぁ、りょ……原田先生、知らないの?」 「あーうん……」 「うんて……連絡しないと! 心配してるよ!」 まさか、本気で家出だったの? やりかねないとは思ってたけど、本当だったなんて……。 「いいの、これはささやかな抵抗だから……」 「ささやかな抵抗?」 何言ってんの? 少しづつ顔を曇らせるさつきにわたしはまだ、気づいていなかった。