「待った?」 「ううん。さっきついたばかりなんだけど……智くん、ごめんね、お兄ちゃんが……」 智くん? すっごい馴れ馴れしい呼び方。 甘いソプラノの声が耳に障る。 なんなの、この女。 「初めまして。さつきの兄の遼です」 女の人の隣にいた男の人が頭を下げる。