ひらひらと手を振る彼の細い指先が、やけに目に焼きついて視界をぼやけさせる。


どうして。


なんで。


最低の男じゃない。


なのに。


勝手に胸がときめく。


ドキドキする。


本当の名前がなんなのかもあやふやなままなのに。


熱が出ているみたいに、身体が熱くなる。


最悪で最低で正体不明のひとなのに。