私が妹役じゃなかったら。 もしも、最初に彼を引っ叩くなんてことしなかったら。 中堀さんは、今頃私と手を繋いで歩いていたんだろうか。 恋人のように振舞って利用していたのだろうか。 志織さんにするように。 私を騙していただろうか。 あの細い指先で、私を抱き締めていただろうか。 私はあんな幸せそうな顔をしていたのだろうか。 「っ、ばかっ」 そこまで考え、はっとして自分を叱った。