青年は子ども向けの物語を書く売れない作家でした。



生活が苦しいのだといいながらいつも笑顔でーー少女と青年が出会ったのは、青年が旅から戻った秋のことでした。





夜明けはないのに、季節は巡り花を咲かせ、時を刻みます。



十月サクラが綺麗な公園のベンチで物語を考えていた時でした。



青年が広げていた絵本をのぞき込む、ひとりの少女がおりました。



その絵本はウサギと同じ淡い月色。



少女の瞳はきらきら輝いてました。まるで、こんぺいとうのように、いくつもの淡い輝きを放って。