少女の日課は青年がいつもいる公園に行くことです。




今日はお気に入りの絵本に出てくるウサギが描かれたスケッチブックを見せました。



青年は優しく微笑み。



「ロアが好きなんだね」


(ええとても!私もロアと一緒に旅をしたいわ。私の知る世界はあの小さな、せまい世界だけだから)


「ユシアが望むなら叶うよ」


(え……?)


「望まないと叶わないんだ。世界はそんな風にできているんだよ、夢も、希望も、望まなきゃ始まらない」



青年が語る言葉はどれも綺麗でした。



少女は今まで何かを強く望んだことはありません。



望んでもどうせ叶わないーーなら、意味なんてないのだとそう思い込んでいました。