あの自分勝手でうるさくてわがままな矢吹が、こんなにもしおらしくなってしまうなんて。 何に、おびえているのだろうか。 彼は失うことが怖いといった。 だけど、私は…。 「私はやめないよ、キョウダイ」 「っ……なんで!」 がばっと矢吹が顔を上げる。 私をじっと見つめる黒い瞳は、いつもの偉そうでニヒルな色は全くなくて。 多分、これが本当の矢吹なんだ。