貰った矢吹は、いつものニヒルな笑顔で、 「仕方ないな」 と言い放った。 走り出す、その彼は。 速かった。 砂はほとんど舞わず、音も何もなく滑るように走って、走って……。 残り30mくらいで、悠々と先頭に飛び出した。 黒と赤の髪は、真っ先にゴールテープを切った。 あちこちから歓声があがる。 すごいと思った。 ただ単純に、すごい人だと。