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「今日が最悪な日ならこれ以上落ちる事はないから…明日は良いことがきっと待ってるよ」向井が囁く言葉はもうまどろんでいる美加には聞こえていないかも知れない。

時計を見ると深夜12時を過ぎたところだった。

「お誕生日おめでとー」

向井は美加の腫れた左目に優しいキスをしてから隣のベッドに体を横たえた。

彼女が目を覚ましたら何から話をしよう

彼女をBARで見初めたのはもう随分と前だということを…

昨日は思わず彼女を追い掛けてBARを飛び出してしまったと…

ケガが治るまで彼女は有給休暇をとると言っていた。

この際、失恋の痛みを感じる暇がない程振り回してしまおうか?

美加さんにとって最悪な日も俺にとっては千載一遇のLuckydayだ。

必ずこのチャンスを掴もうと心に誓う。

高鳴る心臓の音を聴きながら重くなる瞼

幸せの予感に緩む顔を感じながら向井も眠りについた。


(おわり)