よく分からない櫻木サンの秘密。

吹っ飛んだ馬鹿な友人を拾いにいく為、
少々恐ろしいが櫻木サンの席へ寄る。


机の横で、白目剥いて倒れている
浩樹の頬を数度ペチペチと叩く。

……応答、無し。

哀れな友人を見下ろしながら



『……なんまいだー。』



と、手を合わせ目を瞑ると
横からクスリと笑い声がした。

当然、横にいるのは櫻木サン。



思わず横を向くと
瞬間的にハッ、とする櫻木サン。

俺を数秒見つめる。
そして、何故か曇っていく表情。



ついに、何か考えがまとまったのか
キッと、俺を睨みつけておもむろに机の
中に手を入れた。


取り出したのは、いつものそこの
地面に転がっているコバルトブルーの本と
同じデザインのえんじ色の本。


なんとなく想像はついた。
2秒ほどで。

俺の想像通り、櫻木サンはその
綺麗なえんじ色の本を片手に腕を振り上げる。



(あー、俺も殴られる…っ、)



























思わず目を瞑ったが、想像していた
痛みがこないのでゆっくり目を開けて
櫻木サンの方を見ると、さっきまで振り上げていた腕は下ろされ、えんじ色の本は机に綺麗に置かれていた。


『…あれ…?殴ら…ねえの?』


途端、櫻木サンはきょとんとした顔をし
それからまたクスクス笑い出した。

(今日は、よく笑うな)






今度は机の中きらルーズリーフ1枚と
ペンケースからペンを取り出して
スラスラと綺麗な文字を綴る彼女。

文字を書いてるだけ、なのだが
美形は何をしても様になるな、と
心の中で心底感じた。


櫻木サンは書いた紙を俺が見やすい様に
反転させてくれた。

"読んで"という風にルーズリーフを
トントンと指で叩く。



『"誰これ構わず殴ったりしないわ"
……って、さっきの冗談かよ。』


ビビるじゃねえかよと言うと
彼女はなんの悪びれもなくクスクスとまた笑い、そしてまた綴る。


『"そこの人、誰?"か。
こいつは佐藤浩樹。俺の友達。』

『…おう、仲良いぜ。』


そう答えると、彼女が浩樹を苦笑いしながら見て"変な人ね"と書いていたので吹いた。


『…じゃあ、こいつ連れて行くわ。
邪魔して悪かったな!』


俺よりかなりでかい浩樹をなんとか
肩で持ち上げる。

途端、彼女はペンをはしらせる。




『…ん?……お、おう!』


次はふんわりとした笑顔をうかべた
櫻木サンだった



























"少し楽しかったわ。佐藤君に、殴って
ごめんなさいと伝えておいてくれる?"


彼女は照れ屋なだけなのだろうか。