「さぁさ!今日も張り切って行くわよ!」

メグが拳を突き上げながら坂道を下っていく。

放課後。

学校の帰り道。

放課後のメグは、明らかに学校…とりわけクラスメイト達の前では見せない顔を見せる。

笑顔も多いし、饒舌になる。

そのくらい愛想よくすれば、クラスでももっと溶け込めるだろうに。

彼女の言う『人間嫌い』というのは筋金入りのようだ。

その筋金入りにもかかわらず、俺の前では…恐らくは素の表情を見せる。

『小僧、よかったな。アレはお前にゾッコンのようじゃぞ?』

長老が言っていた事を思い出す。

だからメグは俺の前では素なのか?

うわ、やべえ、なんか意識するかも。

「修内太!!」

「ひゃいっ!?」

不意に呼ばれたので奇声を上げてしまう。

「しっかり聞いてなさいよ。今日こそは魔力調節をマスターしてもらうわよって言ってるの。イメージしやすいもの、考えてきた?」

メグが俺の顔を覗き込む。

「うん、あー…いや…」

曖昧な返事を返す俺。

イメージしやすいもの、と言われても、何を基準にすればいいのかわからない。

「つまりね、魔術をイメージする際に…」

と、メグが歩きながら何やら小難しい単語を並べて説明を始める。

その横で俺は、全く別のものに気をとられていた。