【side龍二】


背中に感じる柔らかく温かい感触。

女をバイクに乗せて走らせる。


しばらくして家に着く。


「着いたぞ」


「ありがと」

そう言うと女はバイクを降りる。


なんだよありがとって
可愛げのねー奴。


ぼろっちいアパートの1室。
そこに2人で入っていく。

「親は?」

「俺一人暮らしだけど」

つーか一人暮らしじゃなきゃ普通連れてこねーだろ。

「そっか…
名前なんて言うの?」

「人に聞く前にまずは自分が名乗れよ」

「…柚希(ゆずき)。」

「俺は龍二(りゅうじ)、
で、
なんで柚希はあんなトコに居たんだよ」


ずっと気になってたことを聞いてみる。

柚希は顔を伏せて唇をキュッと結んだ。