東京に戻った次の日、社長に呼び出された。


社長から告げられた言葉に声がでない。



「おまえはしばらく安め。」


首ですか。


商品としての私も必要がないと言う事なのか。


どう答えて良いのか、考えていると。



「心配するな、くびではない。おまえが疲れてるようだから、休暇をやるといってるんだよ。」


休暇なんていらない。


仕事がしたいです。


下を向いたまま声を出した。


「休暇をいただいてもやることもないし、行く場所もないです。」


一人で旅行なんて出来ないし。


「何処か行きたい所は?」


行きたい所。


何処だろう。


以前旅行のパンフで見た北海道へ行きたいなと思ったぐらいで。


他には思い浮かばかない。


目の前に北海道の旅行パンフがずらりと並べられた。


わぁ、凄い。


「おまえを北海道へ連れてってやるよ。」



「へっ。」


思わず可笑しな声が出てしまう。


あの、あの、どういう事なのでしょうか。


「行きたくないのか。」


行きたいですと大きな声で叫んでいた。


拓斗と一緒に北海道旅行だなんて、嬉しくて即死しそう。


でも、拓斗も一緒に行ったら仕事はどうなるのだろうか。


心配だけど、今は仕事の事を忘れよう。


顔が緩みぱなし。


うふふ、急に元気が出て来た。


そんな私をみて、おまえは本当に単純だと拓斗が笑うけど、気にもしない。