どうしてか、社長も一緒に食事をしてるし。


「真凛は料理が出きるのか?」



えっとそれは。



「こいつは毎日カップ麺生活だったみたいだな。掃除もまともに出来ない、駄目女だ。」


「俺が真凛に料理、掃除、洗濯全てを教えてあげるからね。」


直人さんが女神様に見えた。



俺は仕事があるからと、食事を済ませると社長は部屋を出て行った。



直人さんが今日は休みだから、ゆっくりすると良いよと言ってくれたし。


夕食を作りに来てくれるらしい。



直人さん、大好き。



社長とは全然違うわ。



直人がモテるのが分かる気がする。


お腹も一杯になったし、一休みしようかな。



眠るつもりはなかったけど、フカフカのベットに横になるといつの間にか寝てしまった。


夢の中に拓斗が出て来て、綺麗な女の人と腕組んで、ゆっくり歩いて行き、二人は見つめあってキスをする。


夢の中でも拓斗には手が届かない。


「真凛起きて。夕食出来たよ。」



やだ、どれだけ眠ったの。


「怖い夢でも見てたのかな。涙の後が残ってる。」


笑ってごまかした。


直人さんが作ってくれた、夕食も本当に美味しくて全て食べてしまうと、何故か社長がいて。


「おまえ食い過ぎ。腹が出たらモデルは首だからな。」


どうして、社長がいるの。



社長のマンションは別なところでしょ。



「この部屋は俺の部屋だけど、なんか文句あるのか。」



拓斗が好きでずっと会いたかったはずだから、普通なら喜ぶところでしょうけど。


社長の拓斗は苦手なんです。


凄い威圧感で睨まれると、体の震えが止まらなくなるし、潔癖症の人とは一緒に住めない。


直人さんは又豪快に笑ってるし。



「社長はマンションをいくつも持ってるんですよね。なら、わざわざ私と同じ部屋に住まなくても良いのではないでしょうか。」


恐る恐る聞いたのに。



「おまえはバカか。そんなにいくつものマンションを持つほどの金はない。」



じゃ、あれは嘘だったって事なんですね。


どうして、嘘なんかつくんですか。


「おまえを一人にすると何をするか分からないし、おまえはルミエルの大切な商品だからな。」


はい、はい、分かりました。



私はルミエルの商品だから、優しく扱ってくれる訳ですね。


だったら、こっちも開き直りますよ。


社長が私の事を商品としか思わないなら、商品に愛情をそそいで貰えるように頑張りますから。


なんで、こんな男を10年も思い続けて来たのだろ。


悔しくて涙も出ないや。