聞きなれない男の声。


顔を上げると、短髪の背の高い人が近づいてくるのが分かる。


同じ高校の制服でバットケース背負ってるってことは、うちの野球部?


しかもめっちゃ格好いいし。


イケメンだし、爽やかだし。


私のために手を差し伸べてくれる。


こんなイケメン君、うちの学校にいたっけ?



…何この夢展開は。



「大丈夫?…おーい」



イケメン君は私と同じ目線になるようしゃがんで、顔を近づける。


唇まで…残り30センチ。



「~ッッ!?」



私は恥ずかしさで声にならない声を上げて、すぐに立ち上がってその場から走り去った。