フェイント王子たち


「あ、はい」

渡された紙に名前と電話番号を記入する。

「これでいいですか?」

「はい、ありがとうございます」

「では、失礼します」

立ち上がって荒木さんに軽く会釈してから入口に向かう。

「ありがとうございました」

荒木さんの声に見送られつつ、ちらっと高橋さんの方を見てみたら、熱心に説明してるようでこちらに視線は来なかった。
終わっちゃったぁ…。
結局、やっぱり私は『1客』でしかなかったって事よね…。

「あ〜あ…」

ま、いっか。寒いから、早く帰ろっと。