フェイント王子たち


「大丈夫です。イロイロお世話になりました」

「いえ、こちらこそ。ありがとうございました」

高橋さんのいい笑顔がこちらを見たと思った瞬間、目線が私の背後に逸れた。

「こんばんは〜」

元気な若い女の子の声がして振り返ると、恐らくこの春、高校を卒業するのであろう女子高生の2人組が入って来た。

「あ、こんばんは。ちょっと、向こうに座って待ってて下さいね」

高橋さんは、満面の笑みで女子高生にテーブル席に座るように促してから、こちらに向き直った。