「……行くか」



朝、自分のマンションから出る前に姿見で自分の格好を確認。


真っ黒のマッシュベースで
程よくワックスでアレンジ済みのウィッグ
黒縁眼鏡
第一ボタンまできっちり上げたネクタイ
ローファー

そして黒のリュック


これなら誰も"Rei"だと思わないだろう。


誰かひとりでもバレたらバラせばいい。

騒がれるのが面倒だから
一応適当に変装してバレる期間を延ばせればいいだけ。



「…行ってきます」


誰もいない部屋に向かってポツリと言う。


なんだがいいことがある気がしたんだ。








でもその"いいこと"が




アノ子に出会うっていう事なんて知らずに。