「友達?」
私が尋ねると、百合ちゃんは頷く。
「中学の時の、同級生。」
そう説明してくれた。
「俺ら、ウィーンにある音楽学校付属の中学にいたんだよ。俺、向こうのクラスでは日本語話せる相手が佐伯しかいなくてさ、それですぐ仲良くなって‥」
「もう、べらべら話さなくていいから。」
少し怒った顔の百合ちゃん。
えーと‥
話を整理すると‥
「えっ?百合ちゃんて帰国子女なの?外国の学校行ってたの!?」
「‥そう。」
「じゃあ、英語話せるの?」
「‥うん、まあ。」
うわぁ‥すごい。
全く知らなかったよ‥
「そういう訳なんで、ちょっとこいつ、借りてもいい?」
そう言って百合ちゃんの腕を引っ張る彼。
「あっ、どうぞ!久々の再会だもんね。ゆっくりお話してきてください。」
「えっ、ちょっと!さくら!」
「ありがとな!じゃあこいつ借りてくわ。」
あっという間に百合ちゃんは連れていかれてしまった。