にしても、人が多い。
人酔いしちゃいそう‥

しかも皆すごく社交的だなぁ‥
知らない人ともすぐ打ち解けて楽しそうにおしゃべりしてる‥

「百合ちゃん。私たちも、誰かと話した方がいいかな?」

「別に無理にはなさくてもいいんじゃない。私は美味しいご飯食べに来たようなものだし。」


さすが百合ちゃん‥


と、その時。

「佐伯!佐伯百合!」
大声で名前を呼ばれた百合ちゃんは、むせた。
「大丈夫っ?」


私たちは百合ちゃんのことを呼んだ人を見る。

ブロンズの髪に青い瞳‥
ハーフの男の子?
超キレイな顔‥
「誰?知り合い?」

「知らない。」

百合ちゃんは知らぬふりをして行こうとした。
けど‥

「待てって。佐伯だろ?」
ハーフだけど、日本語は全然普通だ。


「‥そうだけど。」

「俺のこと、わかんない?」

しばらく彼を見つめて、
それから百合ちゃんは
あっと口を開けた。


「‥エレン?」
「そう!久しぶり!」

「どうしたの?こんなところで!だってエレン、ウィーンの‥」

「親の都合。いろいろあるんだよ。」