「ただいまー…」

帰るなりソファに倒れこむ。

「お帰りなさいませ、お嬢様。」

「あ、結城…」


「お疲れのようですね。」

「ん…」

入学初日からいろいろあった…
いーくんはすっごいかっこよくなってるし…
いーくんと話して教室に戻ればクラスの女子たちに囲まれて、いろいろ聞かれるし…


「お嬢様、お友達はできましたか?」

「あ、うん!佐伯百合ちゃんって言うの。」


「佐伯…もしかして佐伯光太郎様の娘さんですか…?佐伯さまの娘さんも確かお嬢様と同い年だと伺ったことがありますゆえ。」

「え?いや、知らない…」

「佐伯さまといえば、世界で最も有名な指揮者です。彼が指揮するコンサートはいつも満席、世界のセレブがオークションで彼のチケットを落札しようと必死になるのだそうですよ。聖アグリネスに入学する際には学力もさることながら、家柄や親の地位、名誉、そういったものも考慮されますからね、佐伯さまの娘さんではないかと…」


「入学するのにそんなことまで調べられるなんて…ちょっと嫌な感じ。…ってか、私はいいの?」

「といいますと?」

「皆ね、すっごい立派なおうちの出身らしくて…私は全然そんなんじゃないから…」

私がそういうと結城は大きなため息をつく。

「お嬢様は本当にこのようなことに関して疎いのですね…」