と、私の視線に気づき、慌てる百合ちゃん。

「あっ、ごめん。さくらのことじゃないよ?別にお金持ちが嫌とかじゃなくて…その、そういうの鼻にかけてるのが…」


「ははっ、わかってるよ。それに、私の家はそんなにお金持ちじゃないから。」

私がそう言うと安心したように笑う百合ちゃん。


と、その時。

「きゃーっ、西園寺様よ!!」

「え、どれどれ!?」

「うわぁ、かっこいい…」

女子たちの声が教室の入り口に向けられる。


私と百合ちゃんも、顔を見合わせ、思わずそちらに顔を向ける。