「わかりました…10分で行きます!!」
電話を切って、
「慎吾、ごめん!赤ちゃんが仮死状態で生まれてきたらしくて…人手が足りないみたいだから行って来る。2時間…ううん、1時間半で戻るから…待ってて…」
早口で説明しながら着替えをすませると、
「行ってくるね」
玄関先で見送る慎吾をギュッとハグしてダッシュで部屋を飛び出した。
病院へは平日の夜間だったことも幸いし、週末は大渋滞の国道1号線は交通量も少なく、病院までの道のりを順調に到着することができた。
白衣の上に予防衣を着け、分娩室へと向かう。
分娩室では小野塚先生が必死の形相で誕生したばかりの小さな命を救おうと心肺蘇生を行っていた。
「早かったわね、浅倉」
ちらりと横目で私が来たのを確認した先生に、
「心マ代わります!」
交代し、2本の指で胸骨圧迫を繰り返す。
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