「危険な状態を脱して小野塚先生に引き継いできたわ。
来週は学会で出張だからしばらく会えなくなるから寄ってみたんだけど、上がってもいい?」
彼の視線をがっちり捉えて離さなかった。
彼は身体をビクつかせ、
「ごめん、せっかく来てもらって悪いけど…今日は帰ってくれるかな?つ、疲れているんだ」
おかしい。
いつもだったらどんなに遅くても「早くあがれよ」って言ってくれるのに、今夜のあなたは「何しに来たの?」と言わんばかりの態度。
さっきから感じる違和感が胸騒ぎに変わっていくのがわかる。
「悟さん、お客様?」
部屋の奥から女性の声がした。
清楚なスーツに身を包んだ品の良さそうな若い女性。
私とは全く違うタイプ。
彼は、「しまった!!!!」というバツの悪そうな表情に変わり、慌てて彼女を奥の部屋に押し込んだ。
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