泣きたい夜には…~Hitomi~




マンションに戻ると、


「じゃ、俺はこれから箱根まで飛ばしてくるよ」


じゃあな!と愛車に乗り込む慎吾に、


「私も行きたい!行く~!」


言うより早く助手席に乗り込み、シートベルトを締めた。


「箱根、箱根、温泉~♪」


浮かれる私に、


「は、行かない!!!!山道走って帰るだけだよ」


慎吾は冷ややかな目でバッサリ斬り捨てた。


でも、ひとりにはなりたくなくて、


「それでもいい、連れて行って、ううん、連れて行ってください!」


両手を組み、上目づかいで見つめ、何故か敬語。


「それ、お前のキャラじゃない」


冷たく言い放つ慎吾。


ははは……。


私もそうだと思いました……。


諦める様子のない私に慎吾は大きく息を吐くと、


「しょうがねぇな、ケーキくらいは食わしてやってもいいぞ。


いいデザートレストランがあるんだけど、男ひとりではなかなか入れないからな」


えっ……


ケ、ケーキ!!!?



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