「慎吾は薬学部卒だから知っていると思うけど、有毒成分はゲルセミシン、ゲルセミン、センペルビリンだよ」
脅かすように言うと、慎吾はニヤリと笑って、
「確かにそれらは猛毒だが、口に入らなければ問題ないはずだ。でなければ一般家庭で栽培なんてできないだろ?」
そう言い、花に触れた。
ばれたか…。
「あー、残念!引っかからなかった。つまんないのー!!!!」
悔しい。
お主、なかなかやりおるのー!
慎吾は勝ち誇ったように笑うと、
「そう簡単に引っかかんねーよ!!!!おっ、あっちの家の庭もすげぇ綺麗だぞ!行ってみよう!!!!」
あの夜……
向井先生と別れ、号泣したあの夜、慎吾と身体を重ねた。
酔った勢いもあったけれど後悔はしていない。
「傷ついても知らねぇよ!」
慎吾は言ったけれど、
私の心は傷つくどころか、慎吾は心の片隅に残っていた向井先生の記憶を消し去ってくれた。
さすがに翌日は、ふたりとも二日酔いで苦しかったけれど、向井先生のことを吹っ切ることができた。
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