泣きたい夜には…~Hitomi~




「もうやめましょう。体壊しますよ」


成瀬さんにやんわりと窘められた。


でも、


「返して!これが飲まずにいられますかっての!」


私がどれだけ傷ついたのか、


どれだけ悔しくて悲しいのかなんてあなたにはわからないでしょ!!!?


取り返そうと彼に掴みかかるも、彼は取り上げた缶ビールを一気に飲み干して…


バンッ!!!!


空き缶をテーブルに叩きつけるように置いた。


「いい加減にしろ!もっと自分を大事にしろっての!お前、医者だろうが!!!!」


さっきまでの温厚で紳士の敏腕MR・成瀬さんは鬼のような形相でブチ切れていた。


私が医者だということは、私が一番よくわかっている。


だけど、今夜は、


今夜だけは、飲みたいの!


飲まずにはいられないのよ!!!!


私は成瀬さんに負けないくらい鋭い視線を向け、


「あなたに…私の気持ちなんて…わかるはずないでしょ!!!?」


苛立ちと悔しさ、そして、悲しみを彼にぶつけた。



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