泣きたい夜には…~Hitomi~




誰だって突然泣き出したら驚くわよね?


「ごめんなさい!!!!急に泣いたりして」


成瀬さんに謝るも、首を振って、


「気にしないでください。誰にだって泣きたい夜はあるんですから」


その優しい笑みに心臓が小さく跳ねた。



──1時間後


「さっ、飲み直そうね」


マンションに帰宅した私は、冷蔵庫から缶ビールを2本出すと、所在なくローテーブルの前で正座をする成瀬さんの前に1本置いた。


成瀬さんの顔には、


「昼間、上杉教授に注意されたことなんてすっかり忘れているじゃねぇか!」


「まだ飲む気かよ」


彼の心の叫びがありありと浮かんでいるのがよくわかる。


でも、そんなのはスルー。


缶のタブを開け、飲もうとすると、


「何するの!!!?」


成瀬さんに取り上げられた。



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