「それはパワハラですよ、小野塚先生。だったら私が代わりに付き合いましょうか?」


その声に小野塚先生の表情が硬直した。


「うっ、上杉教授っ!!!!」


上杉教授がニコニコ顔で医局に入って来ると、


「浅倉先生、学会の報告書を読ませていただきました」


ドクンッと心臓が跳ねる。


もう読んだの?


まさかダメ出し?


書き直し、なんてことはないよね?


緊張高まる中、教授は笑顔を崩さぬまま、


「大変良く書けていました。この調子で頑張ってくださいね」


珍しくお褒めの言葉を頂戴した。


はぁーっ!良かった。


「さて、小野塚先生」


満面の笑みを浮かべた上杉教授とは対照的に小野塚先生の顔色は青ざめる一方で…


「浅倉先生は今夜、成瀬くんとデートなんですから邪魔するような無粋なマネはいけませんよ」


あの……


何度も申し上げますが、デートじゃありませんから!!!!


でも、何で教授が知っているの!!!?



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