と、思ったら、先生が戻って来て、


「あ、そうだ、アンタこれから上杉教授に学会報告するんだったわよね?


今ね、久しぶりにアタシの大好きなイケメンMRが来ているの。だから今のうちに報告書だけ出して逃げちゃいなさいよ。

それじゃ、行ってくるわね~!」


機嫌良く言うと、スキップするように足取りも軽やかに再び医局を後にした。


小野塚先生好みのイケメンMRって……


オネェ言葉だけなのかと思っていたけれど、ソッチ系だったとは。


独身だということにも納得がいく。


脳内に浮かぶのは、何故かガチムチ髭面で角刈りの男……。


「……。」


でも、チャンスには変わりない。


上杉教授のことだ、報告が終わった後、流れで食事に行こうと誘われて朝まで飲みに付き合わされること必至。


明日、明後日が休みでも、それは謹んで遠慮させていただきたい。


だから、どさくさに紛れて逃げるに限る!



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