「今ならもれなく彼の頬っぺたに赤い手形が残っているんじゃないですかね」
小野塚先生はブッと豪快に噴き出して、
「ねぇ、それホント?浅倉、男前すぎてアタシ惚れちゃいそうよ~!」
え……
小野塚先生の熱を帯びた視線に身の危険を感じ、体が勝手に後ずさりする。
その様子に先生はブハッとさらに豪快に噴き出すと、
「バッカねぇ!そんなわけないでしょ?アタシにだって選ぶ権利があるわ~!」
なんて、大笑いしながら私の背中を痛いくらいにバシバシ叩いた。
その言葉、そっくりそのまま熨斗を付けてお返しいたしますが……。
先生はひとしきり笑うと、
「アタシ、ちょっと消化器内科に行ってくるわね~!手形のついた向井の顔なんてレアものなんだから、写メ撮って来なきゃ~!」
はしゃいだ様子で医局を後にした……
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