「ったく……お前もそろそろ自分が幸せになることを考えてもいいんじゃないのか?」
怒鳴られること覚悟で言ってみたが、
「あら、アタシは幸せよ。浅倉も小児科医らしくなってきたし、若いドクターとナースをしごく毎日もなかなか楽しいわよ」
憎らしいほどのドヤ顔を見せる五郎。
しごかれるドクターとナースに心から同情した……。
カランカラン
店のドアが開き、ドアベルが鳴った。
「小野塚先生みーつっけたっ!!!!」
ご機嫌な声が聞こえた途端、五郎のドヤ顔がひきつった笑みに変わった。
「探したんだよー!私がトイレに行ってる間に式場から消えちゃうなんてひどいじゃないか。逃げようったってそうはいかないんだから」
そう言うと、五郎を押しのけ俺の隣に腰を下ろした。
声の主は見なくてもわかる。
だが、見ないわけにはいかない。
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