「成瀬ちゃんて……」
頬杖をつく仕草は娘のひとみなら可愛いすぎて抱きしめたくなるが、五郎ではコントを見ているようで滑稽すぎる。
「物腰の柔らかさと嫌味のないところ、何だか政孝に似ているような気がして……だからなのかな?ついつい構いたくなっちゃうの」
あ……
そうか!
そうだったのか。
今になって気づくなんて……
ひとみが生まれたあの日、
分娩室の外で不安に押しつぶされそうな俺に彼が与えてくれたものは、
どこか懐かしくて温かい……
政孝と同じ安心感。
今ならわかる。
そんな成瀬くんだからこそひとみが惹かれたのだということを。
「だけど、オネエ言葉だったから腰が引けてたけどね」
苦笑する五郎だが、成瀬くんじゃなくても俺でも引くぞ……。
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