「ふざけないで!本当に好きな女を愛人にするつもり?バッカじゃないの!!!?

私のためだなんて言っておきながら、結局は出世のためじゃない!!!?

最低!この二股男!!!!」


吐き捨てるように言うと、頬を押さえ呆然と立ち尽くす彼に背を向け、


「さよなら」


溢れる涙を見られたくなくて逃げるように彼の前から走り去った。


仕事もプライベートも順調で、こんな幸せがずっと続くのだと思っていた。


でも、そう思っていたのが私だけだったとは。


まさか、悟さんに、


信じて愛して止まなかった悟さんに裏切られるとは。


こんなにもあっさり失ってしまう日が来るなんて夢にも思わなかった。


振り返ることなく全力で走った。


けれど、悟さんが追いかけてくることはなかった。


頭の片隅で追いかけてくるのでは、なんて、小さな期待があったことは否定はしない。


だからといって、関係を続ける気なんてさらさらない。


愛人、不倫なんてまっぴらごめんよ。



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