「政孝くんもきっと喜んでいると思いますよ」
カウンターの向こうでマスターもグラスを掲げ、目を潤ませながら天井を見上げた。
「政孝、ひとみは大丈夫だ。だから安心して見守っていてくれよな」
カチリとグラスを合わせ、味わいながらゆっくりとグラスを空けた。
ゴールドに輝く泡の中に政孝の嬉しそうな笑顔が見えたような気がした。
RRRRR……
スマホが鳴った。
ディスプレイには愛する家族の名前が。
通話ボタンをタッチして、
「もしもし……ひとみ?パパだよ~!」
電話の相手は小さくて可愛い俺の彼女。
ブハッと豪快に噴き出す五郎なんて気にしない。
「ひとみお姉ちゃんとっても綺麗だったよ。ママが元気になったら遊びにおいでって言ってたよ」
電話の向こうで『やったぁ!』小さなひとみの喜ぶ声に、『ママにも代わって!』と、妻の声が重なった。
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