「向井もどこかでわかっていたんじゃないの?アンタも浅倉には厳しかったじゃない?」
五郎の言うとおり、ひとみには今まで指導してきたどの研修医達よりもあえて厳しくした。
「ひとみの目を見て直感した。こいつはすごいドクターになると」
政孝の妹だったとは知らずに。
「にしても何の因果だろう。俺達がひとみの……政孝の妹のオーベンになるとはな」
不思議な気持ちでグラスに残ったジントニックを飲み干した。
「シャンパン、ボトルでちょうだい。グラスは4つ、マスターも付き合いなさいよ」
威圧的に言う五郎に、マスターは笑顔で頷き、セラーからシャンパンを出してきた。
「でも、何でグラスが4つなんだ?」
マスターは慣れた手つきでスマートに開けると、グラスに注いだ。
4つのグラスに注がれるゴールドの液体はグラスの中でキラキラとゴールドの泡を輝かせた。
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