あれから慎吾は、お父さんに病院経営の話を断り、今も都内でMRを続けている。


桂川に行く度に、諦めきれないお父さんに口説かれ困っているようだ。


私達は東京、神奈川の近距離恋愛となった。


「慎吾ぉ、うぅっ…………」


『わかった、これから行くから、待ってろよ!!!!』


私が泣いた夜には湾岸を飛ばして駆けつけ、抱きしめてくれること、しばしば……。


さらに輪をかけて面倒な女になったと自分でも思う。


「明日はここから出勤する。朝メシは早めに作ってくれよ」


慎吾の顔を見ると、泣き顔が笑顔に変わる。


「うん、最高に美味しい朝ごはん作るからね」


抱き合いながら眠る幸せなひととき。


帰国して1年が過ぎ……


「これは奥の部屋に置いてください。ひとみ、これはどこだ?」


慎吾が湘南に戻ってきた。



.