慎吾の部屋に帰って来たのは、日付も変わった深夜だった。
部屋に入ると、靴も脱ぐわずかな時間も惜しむように、どちらからともなく抱き合い、唇を重ねた。
静まり返った薄暗がりな部屋の中では、キスの音とふたりの吐息だけが聞こえ、2年ぶりに感じる慎吾の吐息、温もりと鼓動……
それだけで全身が熱に浮かされ、甘い疼きへと変化していく。
小鳥のように何度も啄むように唇を求められ、噛みつくようにそれを返す。
甘い声が漏れると、それを塞ぐように優しく唇が重ねられ、深く激しく求め合った。
慎吾の腕の中で2年ぶりにひとつに溶け合い、喜びと幸せに涙腺がじわじわと潤んでいく。
優しい眼差しを向ける慎吾に自然と笑みが零れ、慎吾は私にそっと口づけ、腕の中に閉じ込めた。
「もう、離さない」
耳元で囁かれた言葉が嬉しくて慎吾の胸に顔を埋め、
「もう離れないから」
もう離れはしない。
今宵溢れる嬉し涙にそっと誓った。
「泣きたくなったら俺が全て受け止めてやる。泣きたい夜にはいつも俺がいる」
空が白むことも気づかぬまま、何度も何度も体を重ね、何度も何度も愛し合った。
言葉に尽くせない想いを伝えるように……
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