以前から悟さんが坂田教授にマークされていることは知っていた。


不安で不安でたまらなくて、彼に伝えると、


「安心しろ、俺はひとみだけだから」


そう言って、優しく抱きしめてくれたのに。


「浅倉先生、確か消化器内科で向井先生が指導医でしたよね？」


急に話を振られて、ドキリとした。


「そうだけど、小児科に来てからは関わることないし、聞いてないわ」


平静を装い、そつなく返した。


でも、


さざ波立っていた心が嵐のように大きくうねりを増していった。


ナースステーションを出て悟さんにメールを送った。


『昼休み、裏庭で待つ』と。


もうこのままにはしておけない。


決着をつけなくては。


午前中の勤務は最悪だった。


医療ミスこそなかったけれど、小児科病棟に入院する子供に付き添う両親を見ているだけで心が痛んだ。


子供が病気でもあなた達は愛する人と寄り添えて幸せでしょ？


黒い感情が渦巻き、苦しみもがいていた。


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