「行ってきます」
医局のドアを開けて、
「小野塚先生、慎吾は先生とは心中なんてしませんから他を当たってくださいね。
慎吾は私のものですから」
背中を向けたまま言うと、医局を後にした。
「どういうことよ、浅倉ーーー!!!!」
小野塚先生の絶叫を背に、分娩室へと全力で走った。
分娩室は2階
小児科病棟のある5階ならエレベーターを待っている間に階段を降りた方が早い。
分娩室前まで来ると、
「ひとみ!!!?」
慎吾が困惑した表情で私を見て、
「浅倉、お前!!!!」
向井先生は、
「何でお前が?」
そう言いたげな目で私を見ていた。
でも、そんな表情に臆することなく、向井先生を真っ直ぐ見て、
「産婦人科から小児科に未熟児対応の応援要請があったので私が参りました」
そう言い、足早に分娩室に入ろうとすると、
「お前、俺の子供…助ける自信はあるのか?何かあった場合、後期研修中だからなんて言い訳は通用しないぞ、わかっているのか?後悔したくなかったら今すぐ別のドクターと交代しろ!!!!」
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