倉橋先生の言葉に、さっきまで騒然としていた医局は一瞬にして異様な静けさに包まれた。
誰を行かせるのか。
迷っている場合じゃない。
今この時だってお腹の中の赤ちゃんは危険に晒されている。
一刻も早く助けないと。
「だったら浅倉、アンタが行かないでどうするの!!!?」
それでも小野塚先生は主張を曲げなかった。
「責任はアタシが取る!小児科でこのアタシが指導したんだもの、できないわけないでしょ?アンタと心中できるなら本望だわ!!!!」
この場でなかったらドン引きしそうな言葉だけれど、先生の思いが胸にずっしり重く響いた。
私の心は決まった。
「いいえ、先生と心中なんて、私はまっぴらごめんです!!!!全ての責任は私が取ります!!!!」
周りのスタッフが固まる中、小野塚先生はニヤリと笑って、
「そうね、心中するならアンタじゃなくて成瀬ちゃんがいいわね。早く行きなさい!分娩室で浅倉マジック炸裂してくるのよ!!!!」
そう私に檄を飛ばした。
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