「わかりました。大至急そちらに医師を派遣します。はい、よろしくお願いします」
倉橋先生は電話を切ると、
「そういうわけなので小野塚先生、お願いします」
でも、小野塚先生は首を振って、
「浅倉、アンタが行きなさい!」
厳しい口調で言った。
えっ……
「わ、私が……ですか?」
いきなりの指名に驚くばかりで、
「浅倉には無理です!まだ経験が足りない。ですからここは小野塚先生で」
食い下がる倉橋先生に、
「そんなことばかり言ってたらここなんて潰れるのも時間の問題よ!!!!」
「わかっています!そんなこと!!!!でも、これは小児科の威信に関わる問題なんです!!!!」
どちらも譲らぬ構えの両者。
小児科の威信って、
その妊婦さんは……
「妊婦さんの名前は、向井香澄さん。消化器内科の向井先生の奥様で、坂田教授のお嬢さんです」
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