泣きたい夜には…~Hitomi~




「すみません」


明日には本当に答えを出さなけれなならない。


断ったら一生後悔することは目に見えている。


でも、慎吾と離れたくない。


慎吾の手を離すことはできないんだ。


その時、


RRRRRR…♪


医局の内線が鳴った。


「はい、小児科医局です」


倉橋先生が電話に出た。


「はい、えっ!!!?」


その声に、医局にいた人間の視線は倉橋先生に集中した。


普段は温厚な先生の表情が青褪め、厳しい表情に変わっていく。


「妊娠27週で、新生児仮死の疑いあり、ですね?」


復唱する倉橋先生の言葉に、


「27週か…厳しいわね」


小野塚先生は眉間に皺を寄せ、脳内で必死に対処法を検索しているに違いない。


27週といったらだいたい7ヶ月……


向井先生の奥さんと同じくらいだ。



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