強引に慎吾の腕を引いて、職員専用ラウンジへと連れて行く。
ここは福利厚生で作られた施設だけれど、ホテルのティールームを思わせる落ち着いた雰囲気で、アルコール以外のドリンクはもちろん、軽食もいただけるという至れり尽くせりの憩いの場になっている。
コーヒーサーバーから紙コップにコーヒーを注ぎ、ミルクと砂糖を白衣のポケットに入れた。
椅子に小さくなって座り、驚きの表情でラウンジ内を見渡す慎吾に紙コップを渡して向かい合って座った。
落ち着きなくする慎吾をじっと見つめると、
「な、何だよ……。」
何事もなかったように振る舞っているけれど、動揺しているのはバレバレだ。
何だかいたずらをして見つかってビクビクしている子供みたいじゃないの?
「助かった……けど、何か誤解してない?」
やましいことなんて何もないのに。
だから、どんなに小さなことでも有耶無耶にはしたくはない。
.


